20080907 『勝つ』ということ ~全日本ジムカーナ観戦記~
※2008/9/6~7に鈴鹿サーキット南コースで開催された全日本ジムカーナ選手権について、
2008/9/11に書いたmixi日記を転載しました。
『勝って当たり前』、という言葉を聞くことがあります。
同じくらいのレベルのライバルがいないから、
これだけの体制で負けるはずがない、
お金をかけているから、
この人だったら、
『勝って当たり前』。
でも、いくらライバル視できるような相手がいなくても、
ワークス並みに体制が整っていても、
困ることなく資金を使うことが出来ても、
その人がかなりのスキルの持ち主でも、
『勝つ』ということを保証された人はどこにもいません。
そして、目に見えるリザルトだけではなく、『勝つ』ということは
自分自身がその結果に納得ができるかどうかで
1位を獲っても不満や悔いの残るレースになってしまうこともあります。
本当の意味で『勝つ』ということは
非常に難しいことだと私は思っています。
今回、鈴鹿サーキット・南コースで
全日本ロード選手権と同じ開催日に行われた
全日本ジムカーナ選手権を観戦して、
改めて『勝つ』ということの意味の深さを考えさせられました。
ちょうど本コースではGP125の決勝が終わった頃。。。
南コースではもうまもなく最後のクラス、
Dクラスの走行2本目が始まる手前でした。
※ジムカーナではレースと違って毎回コース設定が異なり、
実質決勝時のコースを走れるのは
レースウイークのわずかな時間のみとなります。。。
いろんなコーナーを走破した練習量や経験の豊富さと、
実際のコースにあわせたコーナリングやラインの取り方等の
走りの組み立てがジムカーナでは勝負の鍵になりそうです。
全日本ロードのお仕事を終えたシャチョーと合流し、
以前フォーミュラニッポンでお世話になった小菅さんにご挨拶。
「スタート前の準備とか見ると面白いですよ!」とのコメントに
これはぜひと思い、邪魔にならない後ろの方で
様子を拝見させていただくことにしました。
前回の浅間台戦で早々と今年のシリーズタイトルを決め、
四年連続シリーズチャンピオンという素晴らしい戦歴を持つ、
Dクラスのラストゼッケン、小林キュウテン選手のスタート前。
(ジムカーナではラストゼッケンが速い方なんですね)
キュウテンさんは既にコンセントレーションを高める為に
リフトアップされた隼号の中でじっと佇んでおられました。
隼号には、まだタイヤが装着されていません。
ピットを見渡すと、ピットの隅に木箱があって、
ヒーターで温められた木箱の中にタイヤが入っているようでした。
通常、二輪であれば最近はミニバイクでも
タイヤウォーマーを使ってタイヤやホイールに
熱を入れるのが一般的になっていますが、
四輪では、SUPER GTでもウォーマーは使用禁止になっているので
(13.8 機材を用いてタイヤを意図的に加熱・保温することは禁止)
四輪のタイヤを温める作業を実際に見るのは今回初めてでした。
そして、キュウテンさんの周囲を取り巻くように
スーパーメカ・ナベさんや クルーの方たちが
じっとその時が来るのを待っています。。。
決勝前のピリピリとした緊張感が漂うピット。。。
その空気を打ち破る合図とともに、
一瞬のうちにタイヤが木箱から取り出され、
マシンに取り付けられていきます。
そして、あっという間の出陣。
その素早さ、無駄のなさ、絶妙なタイミングに
ドライバーを陰で支えるクルーの方たちの想いが
精一杯込められているようで、見ていてとても感動しました。
キュウテンさんの強さはもちろんご自身の凄さもありますが、
キュウテンさんやマシンを影で支えるメカさん、
クルーさんの尽力がとても大きいな~と間近で見ていて感じました。
この後押しは勝つためには非常に強力な武器になります。
『ドライバーにドライバー以上の仕事をさせない』
『ライダーにライダー以上の仕事をさせない』
本当に『勝つ』ためにはこれは非常に重要な要素になります。
クルーは個々のなすべき仕事をミスなくきっちりこなす。
その分、ドライバーやライダーはその想いに応え、
自分に課せられた仕事を全うする。
この素晴らしいプロの仕事っぷりにとても感銘を受けました。
全日本でもなかなかこういう体制で走れる方は少ないでしょうが、
こういう体制に自分を持っていくことができるチャンスや人脈も
『勝つ』ためには必要な条件となるのです。
だから、本当に『勝つ』ことって難しいんですね。
そして、いよいよキュウテンさんの走行2本目。。。
走行1本目も2位を2秒近く抑えてのトップでしたが、
この方のすごいところは目標設定がリザルト以上にあるところ。
フラッグが振られ、ラストゼッケンの走行開始!!
南コースの逆走、中盤のパイロンセッション、
右へ左へマシンをうねらせながら、
一秒一秒、刻一刻と流れる時間とその位置関係に正確に呼応するように
マシンをコース上に滑らせていくドライビングの凄さ。
そして、最後のパイロンセッション!!
レースのフォーミュラ車両では見ることのできない
ロスのない素晴らしいコーナリングでスラロームを決め、
最後のチェッカーっ!!
タイムは何と。。。
ご自身の1回目のタイムを1秒以上も上回る文句なしの結果!!
キュウテンさんも大満足の会心の走りで満面の笑み!!
周囲からもあまりの素晴らしさに歓声が沸きあがっていました!!
速攻ギャラリーにペットボトルの投げこみっ!!
みんなむっちゃ笑顔っ!!
もう笑うしかないってくらいの凄い走りでしたっ!!
実は。。。
2本目走行前にどうやら1秒縮める宣言をされていたそうで。。。
皆さま口々に。。。
「ほんまにやるとは~っ!!!」
とすがすがしい表情でおっしゃっておられました。。。
そしてひとしきりみんなと喜んだ後に、
携帯片手に現地に来れない方々へ結果報告。
こういうファンの方を大切にする気配りや細やかさも、
キュウテンさんの勝つための強さにつながっているんですよね。。。
互いが互いに元気やパワーをもらって、あげて、
ポジティブなスパイラルを作り上げていく。。。
みんなで前向きになれるってとても素晴らしいことですよね。。。
今回、全日本ロードと重なっていて
じっくり見ることが出来なかったのが非常に残念でしたが、
とても素晴らしい時間を南コースで過ごすことが出来ました。
『勝つ』ということは非常に難しいと今でも思います。
でも、いろんなものを自分の味方につけて
『勝てる要素』をどんどん増やしていける人というのは、
勝てる可能性を限りなく100%に近づけることができる人だと思うのです。
永久発展。
気さくにお話してくださる、とても優しい方ですが、
本当にこの方はすごい方だと改めて実感しました。
なんだか久々に気持ちのよい、すがすがしい空間だったなぁ。。。




